KATZの菜園便り

四季折々徒然草ー晴耕夜読聴暮らし

山本夏彦

山本夏彦「世は〆切」自動車だらけ

自動車だらけ アメリカの自動車はながく世界一だった。 昭和三、四年は円タクの時代で、あれはもっぱらフォードだった。 ナッシュにシボレーパッカード、フォードは仲間のつらよごし、という流行歌があっ た。子供たちはっそれで自動車の名と型をおぼえた。 …

山本夏彦「世は〆切」突っ込め

突っ込め 小津安二郎監督の「大学は出たけれど」は昭和四年の作である。 一度見たいと思いながらまだ見ていない。 なぜ見たいかというと、そこには凍結された昭和四年がぎっしりつまっていると 想像するからである。 私は居ながらにして昭和四年を呼吸できる…

山本夏彦「世は〆切」

むらぎも 「むらぎも」は「こころ」にかかる枕詞で、群肝と書く。 むかしの人は心は胸のなかにひしめいていると思ったのだろう。 むらぎもの心楽しの春の日に 鳥のむらがり遊ぶを見れば(良寛) 内田百閒の随筆の題に「いささ村竹」がある。私は漱石の弟子は…

山本夏彦対談集「浮き世のことは笑うよりしかない」

テレビの中のインテリア 向田邦子 向田 番組への投書の中で、「Aという番組に出ている茶箪笥が、BとCにも出ている、 あれはよくない」って言われたことがあります。 でも茶箪笥ってテレビ局にはそんなにいくつもないんですよ(笑) 山本 ドラマよりセットに…