KATZの菜園便り

四季折々徒然草ー晴耕夜読聴暮らし

池波正太郎「あるシネマディクトの旅」

f:id:katzenthal:20180211194133j:plain

BOFの老主人セトル・ジャン

f:id:katzenthal:20180211192459j:plain

BOFの老主人セトル・ジャン

居酒屋【BOF

 

「パリには何十回も来ている」

「えー・・・・・?」

「フランス映画でね」

「なあんだ・・・・・」

 私は一昨年の初夏に、はじめてフランスへ行った。

 H社の仕事で、フランス映画について、写真入りの本を書くためだった。

 フランス映画を四十何年も観つづけていた所為か、到着の夜、モンパルナスの

 〔クーポール〕へ食事に行ったときも、これまでに何度も見た風景に再会した

 ようなおもいががして、すこしも違和感がなかった。

 本に入れる写真を撮ってくれたのは、パリ在住の写真家・吉田大朋さんだったが、

「はじめてパリに着いたとたんに、まるで東京を歩いているようにあるいている。

 こんな人は、はじめてだ」

 と、T君にいったそうな。

 

  池波正太郎「あるシネマディクトの旅」2011年3月10日