2018-04-10 岡潔「春の雲」 岡潔 寺田先生が松山高等学校の生徒だったとき、ある日、英語の先生をしていた漱石先生の お宅へ遊びに行き、「先生、俳句とはどういうものですか。」と聞いた。 そうすると漱石はそくざに、 「俳句とはたとえば、 時雨るるや黒木積む家の窓明り というようなものだ。」と答えた。 黒木とは割り木のことで、これは凡兆の句である。 これには芭蕉が俳諧は万葉の心なりといった「あわれ」がよく出ているのである。 岡潔「春の雲」p61 昭和42年3月16日 講談社新書刊