KATZの菜園便り

四季折々徒然草ー晴耕夜読聴暮らし

岡潔「春の雲」

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寺田先生が松山高等学校の生徒だったとき、ある日、英語の先生をしていた漱石先生の

お宅へ遊びに行き、「先生、俳句とはどういうものですか。」と聞いた。

そうすると漱石はそくざに、

「俳句とはたとえば、

 時雨るるや黒木積む家の窓明り

というようなものだ。」と答えた。

黒木とは割り木のことで、これは凡兆の句である。

これには芭蕉俳諧は万葉の心なりといった「あわれ」がよく出ているのである。

 

 岡潔「春の雲」p61 昭和42年3月16日 講談社新書刊